あかちょうちんの日 (リメーク版)
 
 
仕事の帰り、ちょっと家電量販店に立ち寄った。
ドアを開けると、なにかいつもと様子が違う。
ずらりと勢揃いした店員さんやミニスカートのキャンペーンガールが笑顔と拍手で僕を迎え入れてくれたのだ。
 
え? どうかしたの? なんかあったの? 
 
わけわからんうちに、天井のクス玉がパカ~ンと割れ、店長さんらしき人が満面の笑顔で、「ぱんぱかぱーん、おめでとうございます。あなた様は当店の開店以来、10万人目のお客様です。」
 
というわけで、夫婦1泊2日の旅行招待券、おまけに高級一眼レフのプレゼント。
 
こんなことって・・あるんだな~♪♪。
 
 女房はきっと泣いて喜ぶだろな。
 そう思いつつ我が家に帰宅。
 
 「お~い、いま帰ったぞ。 ちょっとちょっと、聞いて驚くなよ・・・」
 ・・・と、言うか言わんかのうちに、女房が家の中から飛び出して来た。
  目ん玉ひんむいて顔が引きつってる。
  これは、ただごとではない。
 
え? どうかしたの? なんかあったの? 
 
 「あ、あんた・・、た、た、大変なことになっちゃたのよ~。引き出しに入れたままにしてた宝くじ、・・当たっちゃったのよ~!!! 一等が・・・」と言って、その場で気絶した。
 おっちょこちょいの女房のことだ。なにを寝ぼけたことを・・。
 まさかね。あるわけないよな。
と・・思いつつ、番号を照合してみると・・、えっ ! ?・・うっそ~!!
マジ、当たってるではないか。  
ぎょえ~ \(o)
 
 
 
ああ、その時の僕の気持ちを、どう表現したらいいのだろう。
 もうちょっとで気を失いかけたけど・・・、ちょっと待った。
ここは冷静にならないといけない。
みんなにバレたら、えらいことになる。
 友達とか隣近所の嫉妬に狂った炎のような眼差しに焦がされてヤキトリにされる。
 慈善団体が押しかけてくるとも聞いた。
 誘拐されて身代金を要求されるかもしれない。
ああ、どうしよう、どうしょう。
とりあえずというか、なにをさておき、紙とボールペンを用意して会社の辞表を書こうとしていたら・・・、
 
玄関のチャイムが、ピンポ~ン
 
げっ。もうバレたのか? いや・・、そんなわけない。
 
 玄関には身なりのいい数人の紳士。
「え~、突然お邪魔させていただき誠に恐縮ではございますが、私はこういう者でありまして・・」
差し出された名刺には、『○○金属工業株式会社 常務取締役・鉱山開発本部長○○○○』
 
・・・・・いったい何の用かいな?? ・・こんな時に・・・・・
 
「早速でございますが、実は当社におきまして、この地域一帯を地質調査致しておりましたところ、貴殿が保有されております裏山におきまして、他に比類なき金の大鉱脈を発見するに至ったわけでございます。
つきましては、今後のことについて、いろいろご相談させていただきたいことがございますので、こうして馳せ参じた次第でありまして・・・」
 
その夜のこと、大空から土砂降りのように降りしきる札束を、ブルドーザーでかき集めている僕がいた。
 
あといくつ寝るとお正月
みなさん、よい初夢を。